花を楽しみ、実った果実を食し、木材を建築に。
人と植物ははるか昔より共存してきました。
そして、人間の営み一つである「火をおこす」ことにも木は欠かせません。
木を植えるという行為は、一見、人工的な印象として見受けられますが、
人間もエコサイクルの一部として見れば、その行為も自然なのだと思います。
遠くに子孫を残すために、木はその種を鳥に託します。人間は独自の術を持って、
鳥や小動物とは違った方法で、知らず知らず木の手助けを行なっていたのかもしれません。
ここでは、植栽についての基本知識を簡単に紹介していきたいと思います。
スコップの使い方
背筋を伸ばし足で掘ることを心がけましょう。
足の力は手の力より数倍強いので、理にかなった掘り方です。
腰を曲げて手の力だけでスコップを使うと、腰を痛める原因になります。
位置を決める
木を植え付けるにあたって、位置決めはとても重要です。枝が横に広がりやすい、何m に達するなど、木には本来持っている最 終形態というものがあります。なぜそこに植えるのか、その木が将来どうなってほしいのか、十分に検討しましょう。
周辺環境を考慮しながら、できるだけあなたの気持ちがワクワクする場所に植えるのがポイントです。
「ここだったら良いな」、「こんな風になったら素敵だろうな」というインスピレーションを大切にして位置を決めましょう。
本数が多い場合は、大きな木から植えていきましょう。
隣家近くに植える場合は、毎年剪定しましょう。
穴を掘る
“スコップの使い方”を参考に、根鉢が丸ごと入るほどの大きさ の穴を掘ってみましょう。 ※腰を痛めないように注意。
植え付け前に
化学繊維ポットやビニール紐は、木の成長とともにじゅないにくい込む恐れがあります。腐食を避けるためにも植え付ける前に取り除きましょう。
植え付け
根鉢を土に入れたら、細根がでやすくするために周りに鹿沼土を入れましょう。
有機緩効性肥料を与える場合は、根に直接触れないようにします。 ※植え付け直後に化成肥料は与えない。
水やり
水が溜まるよう、水鉢(ダム)を作ってから水を入れましょう。
“水を張った田んぼ”のようにたっぷりと入れ、根鉢の下までしっかり水が入るよう、バールやスコップで気泡が出なくなるまで念入りに突いていきます。
植栽後のメンテナンス
夏の水やりはもちろんですが、冬の乾燥も無視できません。
移植後から約1 年間は十分注意して管理しましょう。
夏場の水やり
- 日中の熱い時間帯は避ける。
- ホース中の温まった水を抜き、冷たくなってから行う。
- 葉っぱに水をかける。
冬場の水やり
- 凍結を防止するため、日中に行う。
- 風が強く乾燥している場合は、樹木全体に水をかける。
- 休眠期なので土が湿る程度にとどめ、かけすぎに注意する。
剪定作法
自然樹形剪定は、木の負担が少なく、枝をすく剪定法なので仕上がりが自然で風通しも良くなります。
図1 は、1 本の枝または木を表しています。伸びた枝を剪定する場合、①を切りましょう。 この時、“ブツ切り”はせず、必ず枝の別れぎわにハサミを入れます。 枝の流れに沿って少し斜めに切るときれいにしあがります。
図2のように、②が先端になり、③が次期の先端になるので、 ②、③、④の枝は残しておきましょう。 さらに、わき芽をかくことで清潔感が出ます。